【自己主張が苦手な人必見】アメリカ人から学ぶ自己主張

和や他人との協調性に重きを置く日本人と比較すると、欧米人、特にアメリカ人は自己主張が強いと言われがちです。実際に、そう思っている方も少なくはないのではないでしょうか?では、みなさんがイメージする彼らの『自己主張』とは、一体何なのでしょうか?

なぜアメリカ人は自己主張が強いと言われるのか?

アメリカ人が自己主張が強いと言われる理由に、アメリカが多様性に富んだ移民国家であることが考えられます。文化や価値観などバックグラウンドが異なる人々が暮らす国では、日本のような『以心伝心』、『一を聞いて十を知る』といった考え方は通用しません。自分の考えは口に出して相手に伝えないと、自分を理解してもらえないからです。アメリカで『常識』と一言でいっても、常識はあってないも同然。自分の『常識』が、他人の『常識』と同じとは限らないから。ですから、日本で生活する人であれば必ず聞いたことがあるであろう言葉『気が利く』は、アメリカではほぼ期待出来ません。日本の会社では上司や先輩が、「お前は気が利かないな!」と叱責するのも珍しくもない光景。察する文化ではないアメリカで、社員が上司からこんなことを言われたら、彼らは納得しないでしょう。なぜなら、言葉や書面で指示があったことがすべてなのですから。

小学校に通う前から意見を述べる練習

アメリカの教育制度は州によって異なり、例えばカリフォルニア州では、5歳の幼稚園(キンダー)から18歳の高校生(アメリカの12年生)までが義務教育となっています。幼稚園に入るまで、多くの子供たちがプリスクール(やデイケア)に通います。以前著者が息子をデイケアに連れて行っていたときの話です。週明けのデイケアの4歳児のクラスでは、常に先生が子供たちに、ひとりずつ週末の出来事を発表させていました。子供たちは全員手を挙げていて、たどたどしいしゃべり方ながらも、物怖じせずに話していたのが印象的でした。人前でもはきはきと自信ありげに話す人が多いアメリカ人(そして、それは望ましいこととされています)。こんな小さいころから自分の意見を述べる練習をしているのですね!

日常生活の中でも意見を述べる場面が多いアメリカ

そんなわけで、アメリカでは日常生活の中でも自分の意見を述べる場面に多く出くわします。たとえば、外食時。サラダのドレッシングの種類から始まって、肉や魚の焼き具合、付け合わせの料理の種類、ハンバーガーやサンドイッチの具の選択(玉ねぎ抜き、など)など、小さいことですが自分の意見を述べることの連続です。日本で外食しても、客に意見を求められるのは、あっても牛丼屋での『つゆだく』依頼や、ファーストフード店でのポテトやドリンクのサイズの選択ぐらいではないですか?レストランでは、サラダのドレッシングは大抵決まっています。料理に入っている特定の具材を除去することを最初からお願いすることも、ほとんどないのではないでしょうか(頼めばやってくれるとは思いますが…)?いろいろなことがすでに決められたスタイルの日本の飲食店に慣れていると、アメリカに来ると面倒だと感じるかもしれませんね。

また、アメリカ人のお宅を訪ねると、大抵「何か飲み物は?」と聞かれます。「水、コーラ、オレンジジュース、お茶、ビール…」とホストは続けます。あなたは、欲しいものを答えないといけません。「なんでもいいです」では、ホストが困ってしまいます。これが日本だと、訪問先ではホストが勝手にお茶なりコーヒーなりを出してくれますよね?この点だけでも、日本はいろいろな場面で受動的で、アメリカは能動的なのが分かりますね。そして、アメリカでは遠慮して、「お構いなく」とでも言おうものなら、本当に何も飲み物は出てきません。

沈黙は金ではなく、単なる意見のない馬鹿な人?

『沈黙は金、雄弁は銀』という諺があります。アメリカでは、この諺は通用しません。意見がない人は、馬鹿かつまらない人間だと見なされます。日本人がよくしがちな、会議中に意見を言わずに頷いて聞いている態度。話を聞いているからといって、納得しているわけではないときもあるでしょう。しかし、この態度は下手すると『沈黙=了解』とも取られます。意見の内容よりも、とにかく発言することが大切です。

それを証明する話をご紹介しましょう。著者が以前働いていた会社の部署内で、席替えの話が持ち上がりました。諸事情で著者の席と、アメリカ人の同僚Cの席を交換するのはどうか?と、上司が提案しました。「(会社は労働する場所なので)特に、問題はない。席はどこでも構わない。」と、著者は答えました。ところが元同僚Cは、みなの予想に反して難色を示しました。理由を尋ねられたCの言い分は、こうです。「席替えは嫌だ!なぜなら、私はこの席にずっと座っていて、この席が気に入っているから!」えええ?まるで幼稚園並みの意見じゃないか!…と、驚愕した著者。しかし、上司は「分かりました。」と言って、席替えを中止したのです。えええ?そんな簡単に納得する(しかも、そんなつまらない理由で)?会社の命令は絶対だと思っていたため、一連のやり取りに衝撃を受けました。そのとき思ったことを今でもよく覚えています。なんでも言ってみないと分からないもんだ!

言ってみないと分からないのは、どんな場面でも当てはまります。役所も例外ではありません。杓子定規な考えの日本とは異なり、個人の見解や判断に任されている場合が多いのがアメリカです。マニュアルは参考程度で、あってないようなもの。とにかく適当です。駄目もとで言ってみたら、受け入れられる場合も珍しくありません。どんな担当者に当たるかは運次第。しかし、問題が勃発して内容や指示に納得出来ない場合は、まずは自分の意見を言ってみることが大切です。そして、役所や銀行などでも間違いはザラにあるのがアメリカ。おかしいことは、おかしい!と声を大にして言わないと、泣き寝入りになってしまうのです。

意見があるのと、わがままは違う

たまに勘違いする人がいるのですが、自己主張とわがままはまったく別物です。自己主張というのは、自分の意見があるという意味です。わがままや自分勝手を言うとか、人の気持ちに配慮せずになんでも言いたいことを言うことではありません。職場でもアメリカ人の同僚たちは、ここぞという場面ではしっかり自分の意見を述べます。しかし、もし『Me,me,me…..!!』のような自己中心的な主張をしている人がいれば、確実に職場で浮いて嫌われたり鼻摘み者扱いされること必至。同僚の気分を害するような発言をする人は、アメリカでも問題外です。

アメリカだって、自分のことばかりしか考えていない人間は煙たがられるのです。以前、著者が牡蠣にあたって夜中にERに駆け込んだときのこと。ちょうど2月でインフルエンザが猛威をふるっていたこともあり、待合室は病人で溢れ返っていました。自分がマーライオンになったのではないか?と思うほどの嘔吐と戦っていた著者が、長丁場になりそうな夜に絶望したのは言うまでもありません。待合室の椅子に座って待つこと30分…外から騒がしい声が聞こえてきました。高校生ぐらいの白人の女の子が、母親に付き添われて登場。彼女は「死ぬ!死ぬ~!助けて~!早くどうにかして~!!」と大声で叫びながら待合室の床に寝転がり、スーパーで母親にお菓子をねだって駄々をこねる子供のように、手足をジタバタし始めました。どうやら彼女はインフルエンザで苦しんでいたようなのです。あまりの騒ぎっぷりに、待合室にいた他の患者や付き添いの家族は全員ドン引き。周囲の白い眼をものともとせず、あまりにも五月蠅い彼女に見を見かねた看護婦が、彼女をすぐに車椅子に乗せて診療室へ連れて行きました。その場に居合わせた一同、唖然。同時に、著者を含む患者の全員に、彼女に対して軽蔑と殺意に似た気持ちが芽生えたのは間違いないでしょう。自分さえ良ければいい(待合室の患者は、長時間順番を待っているのに)…ここまでくると、自己主張というより、単なるわがままにすぎません。

まとめ

自分の意見を声高に述べることに不慣れなわれわれ日本人からすると、『自己主張』と聞けば気後れし、気が強い人・怖い人などネガティブなイメージを抱くこともあるでしょう。しかし、自己主張とは自分の意見を相手に伝えることであり、自分の身を守ることでもあります。アメリカ人は意見がはっきりしている人が多いのは確かですが、だからといって自己主張が【激しい】人ばかりではありません。アメリカ人は気が強いイメージがあるかもしれませんが、不必要に尖っていて、無暗に周りに噛みついているわけでもないのです。もちろん、驚くほど気が強い女性もいるのも事実ですが…(そのような女性は、例外なく陰でbitchと呼ばれています…)。日本人がアメリカに滞在するときは、日本にいるときの倍ぐらい自己主張をすることを意識的に心掛けると、ちょうどいいかもしれませんね。

photo by : http://psychology-japan.com/
written by : Olivia

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