皆さんは学校で、「maybe」を「多分」と習いませんでしたか?ついでに、「perhaps」「probably」も同様に「多分」と習ったと思います。そんな訳で、日本人は、この三単語の中で「maybe」を最も多用しているように感じます。他の二単語に比べると、「maybe」が一番言い易いのか、はたまた、「多分」と言ったら「maybe」だわと言う方程式が頭の中で既に出来上がってしまっているのでしょうか。本当のところは良くわかりません。しかし、英語のネイティヴスピーカーと同じ感覚で「maybe」を理解しないと、時に糠喜びさせられてガッカリと言うことにもなりかねません。
ここで、「maybe」にまつわるお話を。Mさんは、アメリカのロックバンド、エアロスミスの大ファン。今度、彼が大学に通っている町にエアロスミスがツアーでやって来ることを知りました。公共の交通機関が発達した日本と違って、アメリカは車社会。ニューヨークなどの一部の大都市を除いて、バスの運行は早い時間になくなってしまいます。コンサートの会場も、郊外で行われることも多々あります。高い運賃を払ってタクシーで行くのには、ちょっと無理があります。第一、帰りの足をどうやって確保出来るのでしょうか。そこでやはり、一番信頼出来るのは、自分の車となる訳です。ところが、留学生のMさんは、車を持っていませんでした。そこで思いついたのが、仲良くしているルーメイトのアメリカ人Aをコンサートに誘ってみる案。彼は車も持っているし、これで行き帰りの足の問題はなくなります。
ルームメイトのAにコンサートのことを話すと、『いいね!多分、行けると思うよ』と、二つ返事が。すっかり気を良くしたMさん。ところが、コンサートの日程が近づいて来ているのに、毎日顔を合わせるAの口からは、コンサートの『コ』の字も出て来ません。もしかして、忘れているのかな?と一瞬不安が頭をよぎりましたが、車を出すのは自分じゃないので、気を使ってなかなか言い出せず。一人で悶々とする内に、とうとうコンサートの一週間前になってしまいました。業を煮やしたMさんは、思い切ってAに聞いてみることに。すると、AからMさんが予想もしていなかった返事が返って来ました。『ああ、やっぱり行けそうにないよ。お金もないしね』
コンサートを楽しみにしていたMさんが、どんなに落胆したかは言うまでもありません。Mさんがまず理解出来なかったのが、『多分、行けるって言ったじゃないか!』と言う点。日本人が『多分、行けると思う』と返事したら、『かなりの確率で行ける』ことを意味しているのが、感覚で分かります。ところが、ルームメイトのAからすると、『ちゃんと多分って言ったよね』と言う大義名分があるのです。Mさんは、よく分かっていなかったのです。Aの『多分』が、「maybe」だったと言うことを。
Aが言った「maybe」は、残念ながら、Mさんが学校で習った「maybe」とは、似て非なるものです。日本語の『多分』に該当する英単語は、「maybe」の他に、「probably」「likely」 「perhaps」「possibly」などがあります。英語のネイティヴスピーカーは、これらの単語を使い分けているのです。しかも、かなりの部分、感覚で。日本人が、日本語の冠詞や数詞をどうやって学んだか、上手く説明出来ないように、ネイティヴスピーカーも『多分』の使い分けを完璧に説明出来ない人が多いのではないでしょうか。ただ、幼少の頃から身に付けた感覚で、「maybe」と「probably」が、全く違った意味合いを持つことは分かっています。
これらの『多分』の単語の中で、最も確率が高いのは、「probably」です。大体75%から95%ぐらいの、かなりいい感じの信頼性があるようです。次に、「likely」で確率70%前後。それからやっと「maybe」と「perhaps」が来て、確率は40%から60%の、よく分からない感じ。最後に、「possibly」の確率が、20%ぐらい。「maybe」の確率が50%はあると言われています。
実際、英語が母国語の国で生活してみると、「maybe」ほどいい加減で、曖昧で、当てにならない単語はないと実感します。相手が「maybe」と言ってきたら、殆ど見込みなしと思ったほうが賢明です。はっきり言って、確率50%も望めません。その程度で受け止めた方が、後々期待を裏切られてショックと言う事態を回避出来ます。もし相手が本当にあなたの誘いに興味があれば、その場ですぐ詳細を聞いて話を詰めようとするか、「most likely」や「most definitely 」などの単語を使用して、行く意思表示をする筈。この様に、何度もガッカリを経験し痛い目に遭って、自己防衛の術を学んで行くのですね。従って、もしあなたが気になる外国人のお相手をデートに誘って、『Maybe』と言う返事が返って来たら、残念ながら、余り脈がないと思うほうがいいかも知れません。
コンサートに行き損ねたMさんからすると、『そんな気を持たせるようなこと言わずに、むしろはっきり言って欲しい!』と言いたい気持ちは良く分かります。外国人って、自分の意見をはっきり言うんじゃなかったっけ?と。あるネイティヴスピーカーによると、「maybe」を使って返事する時は、相手が気分を害さないよう、やんわり相手を気遣ってるんだそうです。なんだか、京都人の『ぶぶ漬け伝説』のようです。以前、ある京都の方が『大阪人は、歯に衣着せぬ物言いで失礼だ』と、言うので、『京都人の物言いの裏表よりはいいのでは?』と、返してみたところ、『京都人は、相手を傷付けないように、やんわり事実を述べているんだ』と、反論されたのを思い出しました。我々非英語ネイティヴスピーカーの立場からすると、京都流より大阪流のほうが、聞いたまま白黒はっきりしているし、分かり易くて有り難いかも知れませんが、どう思いますか?
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