海外メディアでも大きく取り上げられたSMAPの解散騒動

リオ・オリンピック開催中、速報が流れて驚いた人も多かったと聞いています。著者は、日本の友人からLINEで知らされました。そう、日本の国民的アイドルグループSMAPの解散のニュースです。NHKでも速報で流れた事実からも、彼らの人気ぶり・人々の関心の高さが伺えますね。驚いたのは、SMAP解散のニュースが日本のみならず、国外でも報道されたことです。日本以外ではどんな報道がされたのでしょう?

海外の著名な新聞にも

たかが日本のアイドルグループと侮るなかれ、です。SMAP解散のニュースは、海外のメディア (新聞・インターネット)でも取り上げられました。台湾や中国などのアジア諸国で報道されるのはともかく、アメリカでもというから驚きです。The New York Times、BBC News、Billboard、Times Union、SFgate 、U.S.News、The Seattle Times、Business Insider…そうそうたる顔ぶれです。

The New York Timesの記事では…

さて、The New York Timesで、SMAP解散のニュースがどのように取り上げられていたか知りたくありませんか?記事は当たり障りのないさらっとした内容ではなく、読み応えのある内容になっていました。日本でのSMAP解散のニュースの騒がれ方が、The Beatlesのそれに近いと解説されていました。また、『世界でひとつだけの花』や『夜空ノムコウ』といった代表曲が音楽の教科書に掲載されていることや、彼らが与える社会的影響の大きさなどもあわせて紹介。ジャニーズ事務所の仕組みや、所属タレントの生み出した利益の多くが事務所に流れるビジネススタイルを、『奴隷契約』と揶揄して説明していました。過去において、日本のアイドルグループの海外でのここまでの大きな解散報道は、記憶する限りでは前例がありません。好き嫌いはともかくとして、SMAPが四半世紀に渡って日本社会に与えてきた影響や功績が大きいということを物語っています。SMAP恐るべしですね。

世界のボーイズバンド事情

アメリカやイギリスにも、男性だけで構成された音楽グループは存在します。彼らはボーイズバンドと呼ばれています。アメリカやイギリスのボーイズバンドは、本格的な歌や踊りを売りにしていて、テレビのバラエティー番組に出演することはほとんどありません。時代は変われどボーイズバンドは常にいて、最近の有名どころでいうとOne Direction(1D)や彼らのライバル的存在のThe Wanted(TW)。90年代後半から2000年前半はJustin Timberlakeが在籍していたNSYNC。同時期に彼らのライバルグループでNSYNCと人気を二分していたBackstreet Boys(BSB)。さらにさかのぼると、80年代後半に活躍し、メンバーに俳優のMark Walhbergのお兄さんがいるNew Kids On The Block。そして忘れてはいけないのが、ボーイズバンドのはしり的存在で、かのマイケル・ジャクソンが在籍したThe Jackson Fiveでしょう。ボーイズバンドは次から次へと誕生していています。ポスト1Dになるかも?と期待されているのは、兄弟4人と親友で構成されたR5、イギリスのポップロックバンドThe Vampsなど。とにかく数え始めたらきりがありません。

長年続けるのは難しい

The New York Timesの記事で、著者の関心をひいたのはその題名です。記事の題名は、『An Aging Boy Band Calls It Quits, but Japan Can’t Let Go(※1)』。興味深いのは、【An Aging Boy Band】と表現されていること。もう数年で四半世紀の活動に手が届くbackstreet Boysを除けば、ほとんどのボーイズバンドは一度も活動中止なしに活動を続けていません。One DirectionとThe Wantedは現在活動休止中です。New Kids On The Blockは、再結成して現在アラフォーになった当時のファンに支持されています。長期に渡ってボーイズバンドを続けるのは大変なのです。その点、結成から28年間一度も活動を休止することなく第一線で活躍してきたSMAPは、ボーイズバンド界では特殊な存在だといえるでしょう。

アメリカでのボーイズバンドの支持層 

アメリカではボーイズバンドといえば、一般的にファンは小学生やティーンが大多数です。著者の元同僚が、小学生の娘がOne Directionに熱を上げていると話していたのを記憶しています。また、当時押しも押されぬ人気だったNSYNCやBackstreet Boysが、いかにライバル同士切磋琢磨しているかを熱く語っていたのも、友人の小学高学年の娘でした。日本では、年齢関わらず好きなアイドルや芸能人を公言することができます。たとえば、20代30代の男性がAKBやももいろクローバーZなどの少女グループのファンだと名乗ることも珍しくありません。しかし、アメリカでは、20代30代の男性が10代の少女の芸能人のファンだと声を大にして言うのは、少々危険な行為です。職場で公言した日には、彼はロリコンなのでは?という、下手するといらぬ誤解を周りから受ける可能性がなきにしもあらずです。同様に、20代後半や30代の女性がボーイズバンドの熱狂的ファンだという話も、少なくとも身近では耳にしたことがありません。どうやらアメリカでは、ボーイズバンドやティーン・アイドルは、あくまでも若年層が好んで聴くものと暗黙の了解があるようなのです。子供のものと大人のものには線引きがあり、棲み分けもしっかりしている印象があります。日本では、SMAP前とSMAP後では男性アイドルの在り方が変わったときいています。SMAP後は、20代でも30代でも、それ以上でも堂々とアイドルを応援出来るようになったのだとか。支持層が限られている海外のボーイズバンドと比較すると、ジャニオタと呼ばれるコアなファンからライトなお茶の間ファンまで支持層は幅広く、老若男女問わず知名度も高いSMAPは、稀有なグループだと言えるでしょう。

事件の陰には…

『事件(犯罪・歴史)の陰には女あり』という言い回しを聞いたことがありますか?フランス語の慣用句で、”Cherchez la femme.”といい、直訳すると『女を捜せ』となります。多くの犯罪や歴史の背景には、女性が関係していることを意味しています。女性が関係している有名な話の一例は、ギリシャ神話のトロイの木馬(Trojan horse)で知られるトロイア戦争でしょう(この話は、2004年にブラット・ピットが四十路とは思えない筋骨隆々の肉体美を惜しみなく披露したことでも話題になりましたね)。解散の背景に女性がからんでいるかもしれないという点では、The Beatlesの解散とSMAPの解散劇に重なる点があるという見方もあるようですね。いうまでもなく、前者は言わずと知れたオノ・ヨーコ。後者は、事務所の女性幹部、もしくは、某メンバーの嫁です。。SMAPの解散については情報が錯綜しているので、真実は不透明です。しかし、女性が黒幕なのでは?という憶測が飛び交っているのは確かなようですね。

おわりに

たかがアイドルグループの解散だ…といった意見もあるものの、海外のメディアで解散報道が取り上げられたことに関しては、やはりちょっと特別感があることを否めません。ニュースになった理由としては、彼らが長期に渡って日本の芸能界のアイコンであり、功労者であったということがまず考えられます。かなり日本ポップカルチャーに詳しい人を除いて、多くのアメリカ人はSMAPを知りません。しかし、日本で人々がどれだけ解散報道に関心を持っているか、という点に着目して記事が掲載されたということも理由のひとつに考えられます。一説では、SMAPの解散に伴う経済損失額は636億円にものぼると言われています(※2)。近年鈍化が続いている日本の経済活動にも関わりがあり、無視することが出来ない額であることは確かです。彼らの人気、実績、影響力、経済効果を考慮すると、海外での解散報道は当然なのかもしれませんね。解散についてさまざまな意見がありますが、長年第一線で活躍してきたグループがこのように終焉を迎えるのは残念なことです。日本では、『立つ鳥跡を濁さず』、『終わり良ければ総て良し』、『有終の美を飾る』などの諺や言い回しがあります。今回ほどその意味を考えさせられた解散報道はありません。

参考文献:

(※1)An Aging Boy Band Calls It Quits, but Japan Can’t Let Go
URL: http://www.nytimes.com/2016/08/20/world/asia/japan-smap-breakup.html?_r=0

(※2)SMAP解散の経済損失額「636億円」試算に注目集まる
URL: http://www.j-cast.com/2016/08/22275741.html

photo by : http://people.howstuffworks.com/

written by : Oliva

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