先日、カナダで日本人女性が殺害されるという痛ましい事件がありました。誰しも、「自分は大丈夫」と信じたいところだと思います。しかし、海外に旅行または留学する際には、気を付け過ぎるぐらい気を付けても損はしません。そこで今回は、特に女性が海外で犯罪に巻き込まれないようにするためのヒントをご紹介します。
1. ホテル・住居選びは念入りに
日本国内では、極めて治安が悪い場所はまだまだ少ないと思います。しかし、海外では大抵大都市には治安が悪い地域があります。また、国の治安自体が良くないということも珍しくはありません。日本で一生懸命働いて貯めたお金を、なるべく節約したい気持ちは分からないでもありません。しかし、海外では『治安=ホテル料金や住居の家賃』の方程式は、ほぼ100%確実です。お金をケチって身に危険があるようでは、元も子もありません。特に、女性単独での旅行や海外生活なら尚更です。ホテルや住居を決める前には、インターネットや現地に知り合いがいれば尋ねるなど、事前の十分なリサーチが必要です。アパートは必ず下見に行き、セキュリティーが行き届いている物件でない限りは、防犯上の理由で1階を避ける方が無難です。
2. 危険な場所にはひとりで行かない
土地勘がない場所に行く場合は、よく下調べをしてからにしましょう。時間帯にも気を付けたいものです。夜や早朝(午前4時など、ほとんど人気がない時間帯)に女性ひとりで出歩くのは無謀過ぎるのは言うまでもありません。旅行のガイドブックには、危険な地域や通りまでは記載されていません。目的地に行くのに近道だと思った道が、実は昼間でも現地の女性ひとりでは歩き回らない地域を通っているということも十分あり得ます。著者の友人はアメリカの某大都市で、昼間でも歩かない方が良いという地域を歩いていたら、変な人に追いかけられたといっていました。また、ある通りやブロックを境に急に治安が悪化することも海外では珍しくない現象です。著者が訪ねたあるアメリカの某大都市では、ある通りを2ブロック下がるとゴミや落書きが増え、公園でドラッグの中毒患者たちがたむろしてドラッグをしていました。できれば、現地の人(ホテルならフロントスタッフなど)に危険な地域を教えてもらうようにするか、友人同士で積極的に情報を交換し合いましょう。
3. よく知らない人に気を許さない
海外では人がフレンドリーで、見ず知らずの人にも話しかけてくることがよくあります。著者が住むアメリカもそうで、店内やエレベーターの中、コンサート会場など、どこでもアメリカ人と気軽に話す機会があります。海外で現地の人たちと会話するのは、旅行や留学の醍醐味です。話すること自体は悪くないことですが、問題はその後。もし、その後に場所を変えて飲みに行こう、家に食事に招待する…と言われても、すぐにその気にならないことです。もちろん、世の中には悪人より善人が多いはずです。それに、誰しもに下心や悪意があるとは思いたくはないもの。しかし、あなたは外国という相手のテリトリーにいるわけです。相手が良からぬことを企んでいる場合は、まさに鴨ネギ状態。よく考えてみて下さい。同じことが日本で起きたら、あなたはその人に付いて行きますか?その人の自宅に食事を呼ばれに行きますか?著者も以前、本屋でやたらとこちらをチラチラ見ている男性がいるなと思っていたら、「日本人ですか?私は以前、大阪の四条畷に住んでいました。日本人が懐かしいので、どこかでコーヒーでも飲みませんか?」と声を掛けられました。相手の男性はスーツを着ていて身なりもちゃんとしていたし、四条畷なんていうぐらいだから恐らく嘘ではなく、悪い人ではなかったと思われます。しかし、旅行先だったのに加えて、こちらは一人。やはり、お断りしました。映画では、これが運命の出会いにつながるかもしれませんが、現実ではなかなかそう簡単にはいきませんね。相手の誘いを断りにくいという方。なにも本当のこと(「あなたが怪しい人かもしれない…」)を伝える必要はありません。「この後、友人と会う予定がある」と言えば問題ありません(それでも食い下がってきたら、それこそ怪しいと分かりますね?)。また、会話の中に、実際にいるいないに関わらず、『ボーイフレンド』や『夫』などの言葉を入れて、相手に現在フリーではないことを伝えるのも得策です。
4. 曖昧な態度は避ける
NOと言えない日本人とよく言われますが、海外にいるときこそはっきり意思表示をしましょう。ときには、セクハラのごとく身体に触れてくる男性がいますが、止めるように語気を強めて伝えることです。内心嫌でたまらないのに、曖昧な態度を取っていると勘違いされかねません。職場での上司や先輩からのセクハラならば、抗議しにくい気持ちも理解できます。しかし、そこは外国。日本ではありません。強く拒絶したからといって、一体何を失うものがあるでしょうか?また、バーやクラブなどで男性と目が合った場合、相手に微笑み返すのは止めておいた方が無難です。『微笑=OK』と勘違いされることがあるからです。まったくその気がない相手に、「食事に行こう。いつが空いている?」と誘われたら、「今夜帰国する。」と答えましょう。「いつまで滞在するの?」と尋ねられても馬鹿正直に答えず、この回答で乗り切りましょう。
5. ホテルや自宅を教えない
旅行中に現地の人や他の旅行者と仲良くなったとします。どこのホテルに滞在しているか尋ねられても、ホテルの名前は教えないこと。「えーっと、何だったかな…?」のような感じではぐらかすか(それでも訊いてきたら、怪しい証拠)、友人の家に滞在していると答えましょう。相手に、現地に友人・知人がいるということをアピールすることは、あなたが助けも何もない弱い立場の人間ではないことを暗に伝えることになります。また、海外生活をする女性は、デートすることのなった男性にも安易に自宅を教えないことが賢明です。急に押しかけてこられたり、ストーカーになるのを防止するためです。
6. 外出先では、自分の飲み物に注意
バーやクラブなど、不特定多数の人間が集まる場所では、自分の飲み物から目を離さないこと。知らない間に薬やドラッグを入れられて、意識を失ったり酔いつぶれて盗難に遭ったり、最悪の場合レイプの被害に遭う危険性があります。同様の理由から、公共の場でのアルコール類の飲み過ぎは禁物です。
7. 現地で浮くような服装は避ける
以前、『海外でトラブルに巻き込まれないために気を付けたい服装とは?』でも紹介しましたが、日本で流行っている服装が、海外ではNGなことがあります。理由としては、娼婦や軽い女性に見られるだけでなく、お金を持っているように見える、いかにも外国人だと分かり過ぎてしまうなどがあげられます。海外では、おしゃれよりも動きやすさやカジュアルさを重視。現地人に溶け込んで、浮かないことが大切です。ヒラヒラしたオーガンジーのフレアスカートは日本で十分堪能するとして、海外旅行や日常生活ではジーンズが無難です。以前、著者の住むロサンゼルスの某スーパーで遭遇した日本人親子。母親がパステルカラーのカーディガンに膝下丈のフレアスカート、肌色のストッキングに白いヒールありのサンダルを身に着けていました。こんな超日本的な服装をロサンゼルスで見掛けることは、まあ、ありません。彼女が小銭の支払いに手間取っていたことから、駐在でロサンゼルスに来て間もないのだろうということが推測されました。はっきり言って、彼女の服装は周りから明らかに浮いていました。外国で浮いた格好をして、自ら悪い人間にアピールするほど危ないことはありませんね。
8. 自分の足は自分で確保する
電車などの公共交通機関が発達した国(日本以上に、そんな便利な国があるかは謎ですが…)やタクシーが夜でも捕まりやすい都市以外では、出掛けるときには自分の足は自分で確保する方が無難です。特に、夜間は。たとえば、ニューヨーク・シティ以外のアメリカの大部分はそれが顕著です。9時台になればバスの運行は最終ということも珍しくありません。行きはよいよい帰りは怖い…とは、まさにこのこと。コンサートやクラブに行きはバスや電車で行っても、帰りの足がないのです。治安面の心配もありますから、信じられるのは自分(や友人・身内)の車です。
9. 女性ひとりであることを悟られない
女性ひとりで行動しているときに男性に声を掛けられたら、ご丁寧に対応する必要もなく無視すればいいのですが、もし相手がひつこく食い下がってきた場合はどうすればいのでしょう?スマートな方法は、「もうすぐ友人と会う約束をしている。」、「もう友人が待ち合わせ場所に到着したようだ。」と伝えて、あなたには暇がないことをアピールすること。友人に電話を掛ける素振りをするのも有効的。断っても着いてくる場合は、お店に駆け込んで助けを求めるのもアリです。
10. 異性と出掛ける場合は、親しい友人に伝えておく
誰かと初めてデートすることになったら、ごく親しい友人には簡単な情報を伝えておくと安心です。考えたくはないし、あってはならないことですが、万が一なんらかの事故に巻き込まれてしまった場合でも、友人経由で異常に早く気付いて貰える可能性があります。
まとめ
いかがでしたか?ここでご紹介した10の点は、海外だけではなく日本国内でも通用するものがほとんどだとお気付きでしょうか?海外では気が大きくなったり、ついつい冒険心が出て大胆になりがちです。しかし、重要なことは、『日本でしないことは、海外でもしない』こと。日本でも注意していることは、海外では更に注意することです。そして、『To be in the right place at the right time 』。これを意識するだけでも、かなり自衛できます。海外には海外でしか経験できないことがあります。トラブルや犯罪を恐れすぎて、どこにも出掛けずに引きこもりになるのは馬鹿げています。しかし、『You can never be careful! 』という英語の言い回しがあるように、注意することに越したことはないことを常に念頭に置いて行動するのがちょうどいいぐらいなのかもしれません。
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written by: Olivia