何かと色眼鏡や偏見の目で見られがちな国際恋愛・国際結婚。『一度外国人と付き合うと、もう日本人では満足出来ないのでは?』といった質問を周囲から受けたことがある人も多いのではないでしょうか?外国人をパートナーに持つと、日本人には戻れない…これは果たして事実なのでしょうか?
仕事で現地とのトラブルが多過ぎた
大阪の外資系企業で営業として働くMさん。物怖じしない、ざっくばらんな女性です。Mさんは外資系企業で働き始める前は、欧米人男性と交際していたこともありました。しかし、外資系企業で経験した現地との数々のトラブルに辟易し、仕事以外での外国人との付き合いはもうお腹一杯状態になってしまったのです。本社は、人間味が溢れる人も多いと言われるヨーロッパの某国。彼らの勤務ぶりは、日本人のそれとは180度異なると言っても過言ではありません。何かあるごとに電話で催促するMさんですが、「何をそんなに急ぐ必要があるのかまったく理解出来ない。」「すぐに何かをやってくれって、私たちはあなたの奴隷じゃない。」と、その国の社員に呆れられました。さらに、相手の間違いを指摘した際には、「完璧な人間なんていないんだよ。」と開き直られる始末。そんなMさんが34歳になったとき、友人に紹介された日本人男性と超スピード結婚しました。Mさん曰く、「1から100までいちいち外国語で説明する必要がある外国人男性は面倒過ぎて、1を聞いて10を察してくれる日本人男性以外は考えられなかった。」そう。長年に渡る外国人社員とのバトルの結果、帰宅したら外国語を話さなくて済む、ときには以心伝心で通じ合える日本人男性と、ゆっくり頭と身体を休めてほっこりしたいと思ったのだとか。
同じテレビ番組で笑ったり、思い出話を共有したかった
高校卒業後、テキサスの大学に留学し、卒業後ロサンゼルスの日系企業で15年ほど勤務したKさん。彼女も大学時代にアメリカ人男性とお付き合いしたことがありました。アラフォー間近で、友人を通じて駐在の日本人男性と交際を開始。その時点で彼が1年以内に帰国することは知らされていました。「在米歴が長いのに、最後の最後で日本人男性?」と、周りに不思議がられたKさん。しかし、Kさんが言うには、「アメリカ生活が長かったからこそ、日本人と結婚して、余生は日本で送りたかった」そうです。Kさんも既出のMさん同様、アメリカ適当さや、常に外国語を話す環境に疲れたのが主な原因でした。そして、同じテレビ番組を日本語で観て笑い合ったり、子供の頃に流行ったことなど共通の思い出を共有出来るのは、年齢が近い日本人しかなかったと語っていました。
ビクビクする毎日から解放されたかった
留学先のハワイで現地のアメリカ人と結婚したHさん。両親からの大反対を押し切っての国際結婚でした。両親の不安が的中したのでしょうか。アメリカ人のパートナーは非常に短気な性格で、結婚後機嫌が悪くなったり自分の思い通りにならないと、すぐに声を荒げるようになりました。肉体的な暴力こそなかったものの、身体の大きなアメリカ人男性が怒鳴ると、Hさんは萎縮し始めるようになりました。パートナーがいつキレるのか分からない中、毎日相手の顔色を伺ってビクビクするのに疲れたHさんは、離婚を決意しました。幸い子供がいなかったので、離婚には時間が掛かりませんでした。しかし、一連の出来事で外国人男性が苦手になってしまったそう。離婚後ロサンゼルスに移ったHさんは、同僚の日本人男性と再婚。現在は、喧嘩もほとんどない穏やかな毎日を満喫しています。
働かないパートナーに三下り半
サンフランシスコの大学に留学中に妊娠が分かり、授かり婚をしたEさん。お相手は同じ大学に通う学生のアメリカ人男性でした。Eさんと子供を養うために、パートナーの男性は休学せざるを得なくなりました。アメリカ人の中には、恋人が妊娠しても結婚しない男性もいますので、その点において、彼は責任感が強かったとも言えます。しかし、大学を卒業していない彼には就職の選択肢は狭く、当時不景気ということもあって、5年に渡る結婚生活中で2回レイオフの憂き目に遭いました。代わりに外に仕事に出て家計を支えるEさん。まだ幼い子供3人をパートナーに託して働くのに、かなり不満があったようです。この彼は、かなり気の良いマイペースな人でした。それが裏目に出たのかEさんの目には、彼は自分が置かれている状況にまったく危機感を持っていないと映ってしまったのです。その後、Eさんは子供を連れて日本へ帰国。彼も後に家族を追いかけて日本へ移住するも、ボタンの掛け違いがさらに増し、日々言い争いが続いた結果、離婚に至りました。荒んだ心のEさんを救ったのは、たまたま同窓会で再会した高校の同級生でした。一般的には、国際離婚を経験し、ハーフの子供がいる女性の日本人男性との再婚は困難と言われています。しかし、国際的な仕事に従事するその男性は、彼女の過去にもハーフの子供たちにも理解を示してくれました。彼の懐の広さにEさんは再婚を決意。今ではその男性との間に子供も出来、安定した仕事に就く彼に支えられて幸せに暮らしています。
4人のケースから分かること
ここでご紹介した4人の日本人女性が、結婚・再婚相手に日本人男性を選んだ主な理由は、1)言葉や文化の壁、2)望郷、3)DV、4)失業や仕事の不安定さ、があげられます。1)と2)から言えることは、やはり相手が日本人だと気が楽なのが否めないことでしょう。海外生活が長くなると里心がついて、だんだん日本が恋しくなる気持ちには大変共感出来ます。実際、アメリカ人の夫が自分より先に他界したら、日本へ永久帰国したいと考えている日本人女性は、著者の周りにも珍しくはありません。3)のDVに関しては、アメリカでは18歳から34歳の女性が最もDVの被害を受けやすいと言われています。なんと、4人に1人が生涯においてパートナーから何らかのDV被害に遭うというから驚きです(※1)。最悪の場合は、DVでパートナーに殺害されるケースもあり、アメリカにおけるDVの被害は深刻な問題です。4)の失業に関しては、アメリカの2016年度の失業率は年末までには5.3%に達するとの見込みです(※2)。日本の昨年度の失業率3.37%より若干数字が高いアメリカは、景気が悪くなるといつ何時レイオフになるか分からない雇用状況に戦々恐々とする人が多い国です(※3)。しかし、唯一の救いは再雇用に日本ほど年齢に関してうるさく言われないことでしょうか。
まとめ
一度外国人と付き合ったら、日本人には戻れないという人がいるのも事実です。外国人男性の立ち振る舞いや容姿が、どうしても好きだという人もいます(趣味趣向はなかなか変えられませんね)。また、自己主張がはっきりした女性は、日本人男性に敬遠されがちなので、外国人男性と一緒にいる方が楽だと思う人もいるでしょう。ただ、やや下世話な人たちから詮索されがちな下事情が理由で外国人にこだわっている人は、かなり少数派なのでは?と思うのですが、いかがでしょうか?最後に日本人を選んだ人や再婚相手が日本人だった人は、いろいろな経験や苦労を経て日本人の良さを再発見したのでしょう。彼女たちが口を揃え言っていたことは、『外国人男性、日本人男性ともに長所と短所はある』ということ。そして、『自分たちはたまたま外国人パートナーと上手く行かなかったけど、交際や結婚生活は国籍や人種よりも、個人によるところもかなり大きい』ということでした。彼女たちに関しては、現在の自分の人生に満足出来ているのであれば、回り道や失敗はそこに到達するまでに必要不可欠な出来事だったといえます。交際・結婚には博打の要素があるのです。きちんと相手を見極めたつもりでも、実際に交際・結婚してみないと分からないことも多々あるのです。
参考文献:
(※1)Domestic Violence: Statistics & Facts
http://www.safehorizon.org/page/domestic-violence-statistics–facts-52.html
(※2)United States Unemployment Rate
http://www.tradingeconomics.com/united-states/unemployment-rate/forecast
(※3)世界の失業率ランキング
http://ecodb.net/ranking/imf_lur.html
photo by:https://www.pakutaso.com/
written by : Oliva